回生型電子負荷って、そもそもナニ?
回生でない電子負荷とは?
回生型電子負荷についてご説明する前に「回生でない(回生できない)電子負荷」について簡単にふれておきたいと思います。現在販売されている製品ではドロッパー方式(またはリニア方式)の電子負荷がこれに相当します。
名称 | 方式 | 概要 |
電子負荷装置 | ドロッパー(リニア)方式 | D.U.T.(供試物)からの電力をパワーデバイス(半導体)に流し、これを熱として放出する。 |
図のようにD.U.T.から電子負荷に流れ込む電流は、電子負荷内部のパワーデバイスを通り、最終的に熱に変換されて空気中に放出されます。小電力では気になりませんが、大電力になると放出される「熱」も大きくなるため周囲の温度(室温)が上昇し、場合によってはエアコンを使って部屋を冷やすことになりますので、あまり効率が良いとは言えませんね。
回生型電子負荷とは?
これに対して回生電子負荷は、電力を熱として放出するのではなく、交流に変換して再利用できるようにした電子負荷となっています。
図のように、D.U.T.からの直流を交流に変換して系統(商用ライン)に戻して再利用することができますので電力の消費量が大幅に少なくなります。(回生型電子負荷は交流入力対応の機種もあります)
どういう時に使うと良いの?
評価時の全体の消費電力を抑えることができるため設備を小さくできるメリットがあります。
・配電容量を小さくできる;全体の電力が抑えられるので配電設備を小さくできます。
・廃熱が小さい;実消費電力が少ないため廃熱設備を小さくできます。
電子負荷としての基本性能はドロッパー(リニア)方式の方が優れていますが、大電力用途で省エネを重視する場合は回生型電子負荷が適しています。
配電ブレーカの選定について
電力を回生することで全体の消費電力を抑えることが可能ですが、負荷が変化する際には、電力を回生するまで約0.3秒程度の遅延が発生します。この間、一時的に多くの電力が系統から必要となります。一般的に配電用ブレーカは定格の2倍の電力に対して、約10秒間連続で遮断しない特性を持っています。回生型電子負荷を使用する場合、ブレーカ最大容量の50%の定格で試験を行うことが推奨されます。
さらに、負荷の変化を緩やかにする「ソフトスタート機能」(1秒~10秒の範囲で設定可能)を使用することで、より安全に試験を実施することができます。
※なお、配電ブレーカの特性に関しては、メーカーが提供する技術資料に詳しく記載されています。設備を選定する際には、必ずご確認ください。