シャント抵抗って、そもそもナニ?
はじめに
シャント抵抗と聞いて「あ~、あれね」と言う方は、この先をお読みになる必要はありません。シャント抵抗って、名前は聞いたこと有るけどどんなものか知らないという方のための内容となっています。
シャント抵抗とは
シャント(Shunt)は英語で「脇によける」という意味があり、シャント抵抗の元々の語源となっています。元々日本語では「分流器」と呼ばれており、下図のように電流を分割する(脇によける)ために使用されていました。この方式では、電流計で測定できる最大電流より大きな電流を測定したいときに、電流計と並列に分流器を接続し、流れる電流を分割することで大きな電流を測定することができます。
ただし、電流計で測定された結果はそのまま直読できませんので、分流器との比率により計算することが必要になります。
次に、現在一般的に使用されているシンプルな方式をご紹介します。下図のように、シャント抵抗に電流を流し、その両端電圧を高精度電圧計で測定するというものです。
このときにシャント抵抗に流れる電流は、オームの法則により容易に求めることができます。
電流 = 電圧計の読み値 ÷ シャント抵抗の抵抗値 (A)
なお、実際に販売されているシャント抵抗の抵抗値は数ミリオームから数百ミリオームと小さいのが普通です。シャント抵抗を挿入したことによって流れる電流はわずかに減少する訳ですが、この「減少」を無視できるほど小さくするために抵抗値も小さくなっています。
当然ですが抵抗値が小さいということは、その両端電圧も小さくなります。例えば、10mΩのシャント抵抗に3A流れているとすると、その両端電圧はオームの法則で求められます。
両端電圧 = 抵抗値 × 電流値 = 10mΩ × 3A = 30mV
このように低い電圧を測定するためには高精度の電圧計が必要になりますし、場合によっては測定結果がノイズの影響を受けないようにノイズ対策も必要になるかも知れませんので、安定した測定ができるよう配慮が必要です。
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電子負荷を利用した電流センサー評価: https://www.keisoku.co.jp/pw/app/349/