交流電子負荷の活用(1) インバータの負荷試験

インバータとは

一般的に交流を直流に変換する回路や製品はスイッチング電源あるいはコンバータと呼ばれ、広く普及しています。これに対して直流を交流に変換する回路や製品は逆方向に変換することから「反転」の意味を持つインバータという名称が使われています。
インバータを試験するためには、入力側の直流電源と出力側の負荷装置が必要となりますが、本稿では出力側の(交流用)負荷装置についてスポットを当ててご説明します。

負荷装置とは

負荷装置をひとことで言うと「様々な電源の出力に接続し、負荷をとる(=電流を流す)装置」であり、電源の性能試験には欠かせない機器のひとつです。なお、負荷装置は大きく分けて3種類の方式があります。

 方式特徴
抵抗負荷抵抗器方式長所:比較的低価格
短所:設定速度が遅い(手作業)、自動化には向かない
電子負荷(1)ドロッパー(リニア)方式長所:設定速度が速い、自動化に最適
短所:電力の再利用はできない
電子負荷(2)スイッチング(回生)方式長所:回生動作により電力の再利用が可能
短所:比較的高価格

インバータの試験

 エージング(連続負荷試験)をする場合は抵抗負荷装置や回生可能な負荷装置が適していますが、様々な負荷モードで試験を行うときはドロッパー(リニア)方式の電子負荷装置が適しています。

負荷モード電子負荷の動作
CC(定電流)設定された電流値を維持する
リニアCC矩形波出力インバータでも安定した試験が可能
CR(定抵抗)設定された抵抗値になるような電流を流し、それを維持する
CV(定電圧)設定された電圧値になるような電流を流し、それを維持する
CP(定電力)設定された電力値になるような電流を流し、それを維持する
CF(波高率)電流波形の波高率を設定し、様々な負荷のシミュレーションを行う
PF(力率)電流波形の力率を設定し、様々な負荷のシミュレーションを行う

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