交流電子負荷の活用(5) V2Hシステムの負荷試験

V2Hとは

V2H(Vehicle to Home)は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)の電気を家庭で使う技術です。通常、電気自動車は外から電力を受け取って充電しますが、V2Hでは車に蓄えられた電力を家庭で使うことができます。

V2Hの仕組み

車→家の電力供給電気自動車に蓄えた電気を家庭用に供給できます。これにより、停電時などの緊急時に自宅の電力を補うことができます。
電力の双方向供給   通常は家から車に充電しますが、V2Hでは逆に車から家に放電することができるのが特徴です。

利用シーン

災害時のバックアップ電源   停電時に家に電気を供給できるため、災害時の非常用電源として役立ちます。
電力の効率利用電気料金が安い夜間に車を充電し、日中にその電力を家庭で使うことで、電気代を節約することも可能です。

このように、V2Hはエネルギーの自給自足をサポートし、持続可能な社会を目指す技術として注目されています。

負荷装置とは

負荷装置をひとことで言うと「様々な電源の出力に接続し、負荷をとる(=電流を流す)装置」であり、電源の性能試験には欠かせない機器のひとつです。なお、負荷装置は大きく分けて3種類の方式があります。

 方式特徴
抵抗負荷抵抗器方式長所:比較的低価格 短所:設定速度が遅い(手作業)、自動化には向かない
電子負荷(1)ドロッパー(リニア)方式長所:設定速度が速い、自動化に最適 短所:電力の再利用はできない
電子負荷(2)スイッチング(回生)方式長所:回生動作により電力の再利用が可能 短所:比較的高価格

V2Hの負荷試験

 エージング(連続負荷試験)をする場合は抵抗負荷装置や回生可能な負荷装置が適していますが、様々な負荷モードで試験を行うときはドロッパー(リニア)方式の電子負荷装置が適しています。

負荷モード電子負荷の動作
CC(定電流)設定された電流値を維持する
CR(定抵抗)設定された抵抗値になるような電流を流し、それを維持する
CV(定電圧)設定された電圧値になるような電流を流し、それを維持する
CP(定電力)設定された電力値になるような電流を流し、それを維持する
CF(波高率)電流波形の波高率を設定し、様々な負荷のシミュレーションを行う
PF(力率)電流波形の力率を設定し、様々な負荷のシミュレーションを行う

関連情報

交流電子負荷製品情報