UPSを選ぶ際は、バックアップする機器の消費電力(W)を確認し、それより大きい出力容量のUPSを選ぶようにします。また、UPSには寿命があり、期限を過ぎると取り替える必要があります。UPSと非常用発電機の違いは、自己発電ができるかどうかという点です。UPSは蓄電池に内蔵されている電力を供給するシステムであるのに対し、非常用発電機は機器に搭載された燃料で稼働し、自己発電して電力を供給するシステムです。

  1. 接続する機器の消費電力(容量)の確認
    出力容量(VA)
    UPS本体がどれほどの出力容量(VA)があるかを示す数値で、VAで表記されます。接続するすべての機器の最大消費電力の総計より多いUPSを選ぶ必要があります。接続する機器の最大消費電力は、機器本体や取扱説明書に記載されています。ここでポイントになるのが力率です。力率は、容量(VA)の表現では見えない電力がどれだけ発生するかを示します。容量(VA)と力率の積が電力「W」になります。
    最大消費電力(VA)の計算については、接続する機器の電力表示が「VA」ならそのまま加算。電力「W」なら、W=VA×力率から計算可能です。一般的にOA機器などは力率は0.6~10となります。
    当社のUTシリーズおよびURシリーズは常時インバータ方式を採用しており、力率に関しては0.7までは対応しております。

    出力コンセント数
    UPS本体に搭載されている出力コンセントの数です。コンセントの数は、同時に何台まで電源を供給できるかを示しています。出力容量が十分でも、コンセントの数が不足するとバックアップしたいすべての機器を接続できません。また、コンセントには供給可能な電流が決まっており、一般的なコンセントは15Armsまでです。特に大容量タイプのUPSでコンセントを使用している場合は注意が必要です。UTシリーズおよびURシリーズは容量に合わせ、コンセントから出力可能な電流を15Armsと20Armsで準備しています。それを超える場合は端子台タイプを準備しています。
  2. 使用する電源環境の確認
    UPSは、入力する電圧や周波数が仕様範囲外になると、バックアップ電源へ切り替わります。使用する環境に合わせて対応する入力電圧・周波数範囲の確認が必要です。

    入力電圧
    日本国内における商用電源の電圧は、100Vと200Vが一般的です。この定格電圧を基準とし、入力可能な電圧の範囲を「入力定格電圧」と呼びます。入力される電圧がこの「入力定格電圧」を超えた場合、バックアップ電源へ切り替わります。UTシリーズおよびURシリーズは、100V出力タイプの場合は85~135V、200V出力タイプの場合は170~265Vと、電圧入力範囲が広く、入力電圧変動が発生してもすぐにバックアップ電源への切替は発生しません。内蔵電源を有効に活用できる仕様となっています。

    対応入力周波数
    日本国内におけるコンセント(商用)の定格周波数は、東日本が50Hz、西日本が60Hzです。国内に流通しているOA機器や家電製品はすべてこの周波数に対応しています。UPSは自動で入力周波数を認識し、出力も同じ周波数で出力されるため、周波数について気にする必要はありません。
  3. バッテリー性能の確認
    停電時はバッテリーから電力を供給するため、いざというときに作動しないということがないように、充電時間やバッテリーの寿命の確認を導入時にする必要があります。

    充電時間:
    内蔵されたバッテリーが完全に放電してからフル充電されるまでの所要充電時間です。充電時間が短いほど、連続した電源障害が発生した場合でも、短い間隔での給電が必要なケースに対応できます。UTシリーズおよびURシリーズは鉛蓄電池を使用しているため、充電時間(90%)は8時間となっています。

    期待寿命:
    使用環境25度の温度下で、月に1回程度UPS内部のバッテリーを充放電運転した場合のバッテリーの期待寿命を表します。UTシリーズおよびURシリーズは高性能の鉛蓄電池を内蔵しており、期待寿命は5年間と長寿命タイプを採用しています。
  4. サイズおよび設置方法の確認
    UPSは精密機器であるため、本体周囲に十分な換気スペースを確保しないと、熱がこもって故障の原因となります。特に背面には、余裕を持った配置が必要です。設置方法には、タワータイプ(UTシリーズ)とラックタイプ(URシリーズ)の2種類があり、用途に応じて選択することが可能です。

    タワータイプ:
    据置を前提としたタワータイプのUPSです。コンパクトで小型のタイプであり、容量が大きくなっても設置場所に困ることはありません。

    ラックタイプ:
    19インチラックに格納可能なUPSです。19インチラックシステムに搭載される電子計測器やオーディオ機器などのバックアップ電源としてお使いいただけます。また、ラックタイプのUTシリーズはシステムラックへの実装だけでなく、縦置き(自立タイプの標準スタンド付属)や横置きにも対応可能で、OA機器と並べた自由なレイアウトが可能です。
  5. 耐用年数
    UPSは24時間365日稼働しており、有寿命部品を使用しているため、本体(バッテリーを除く)の耐用年数は約5年です。また、UPSのバッテリー寿命は鉛蓄電池の場合「2~5年」となります。寿命は周囲の温度や負荷率によって大きく変化するため、予防保全の観点から、早めのバッテリー交換や本体の買い替えをおすすめします。