基礎講座「安全試験について」

はじめに
新入社員の皆さん、入社おめでとうございます!今回は安全関連試験に関する基本的な機器「安全試験器」について初心者向けの基礎講座です。安全関連試験では必須の機器となりますので、ぜひ参考にしてください。
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第1章:安全試験器とは?
1.1 安全試験器の概要
安全試験器とは、電気・電子機器を製造する際に、その製品がユーザーにとって「安全」であることを検証するための試験装置です。
- 電化製品や産業設備などを販売・使用する上で、安全性の確認は必須です。
- 火災、感電、過熱などの危険からユーザーを守るための基準を満たしているかを確認します。
1.2 安全試験の必要性
電気・電子製品には各国ごとに安全基準があります(例:日本のPSEマーク、欧州のCEマークなど)。
- これらの基準を満たすために、安全試験が必要です。
- 安全基準を満たしていない製品は市場に出すことができません。
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第2章:安全試験器の主な試験項目
安全試験器では、以下の主な試験を実施します。
2.1 耐電圧試験
概要 | 製品が高電圧に耐えられるかを確認する試験 |
目的 | 感電や漏電のリスクを防ぎます |
例 | 2,000Vの電圧を製品に印加し、一定時間耐えられるかをテスト |
2.2 絶縁抵抗試験
概要 | 製品の絶縁性能を評価する試験 電源部と外装・筐体(ケース)との間の絶縁抵抗が基準値を満たしているかを確認します。 |
目的 | 漏電による感電や火災リスクを防ぎます。 |
例 | 500Vの直流電圧で、絶縁抵抗が1MΩ以上であるかを確認。 |
2.3 接地抵抗試験
概要 | 製品のアース(接地)部が適切に動作しているかを確認する試験(アース導通試験) 感電や漏電時に電流が安全に逃げるルートを構築できているかの確認をします。 |
目的 | 漏電時に感電リスクを低減します。 |
例 | 接地抵抗が指定された基準値以下(例:0.1Ω以下)かを確認。 |
2.4 リーク電流試験
概要 | 製品使用時に、正常な状態で外部に漏れる電流量を測定する試験(タッチカレント試験) 規定の範囲内であれば、人体に触れても危険がないと言えます。 |
目的 | 通常使用時の安全性を確保します。 |
例 | 製品のリーク電流が0.5mA以下であるかを確認。 |
2.5 その他の試験
短絡試験 | 過大な電流が流れた際の動作確認 |
温度上昇試験 | 製品が異常な発熱を起こさないかの試験 |
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第3章:安全試験器の基本的な使い方
安全試験器の操作は、一連の流れに沿って行います。以下に一般的な試験手順を示します。
3.1 試験準備
- 試験対象物(DUT: Device Under Test)の確認:
試験対象製品の定格情報(電圧、電流、耐電圧値など)を確認します。 - 安全環境の確認:
試験場所に可燃物や危険物がないことを確認します。
必要に応じて、試験エリアを遮断し立ち入り禁止区域を設けます。 - 試験器の取り扱いマニュアルを確認:
使用する試験器の仕様や使い方を事前にチェックしておきます。 - 試験対象物の接続:
安全試験器と試験対象物を正しく接続します。
耐電圧試験の場合:高電圧を印加するクリップを製品の絶縁部に接続。
3.2 試験実施
- 試験条件の設定:
試験する項目(耐電圧、絶縁抵抗など)を選択し、必要な試験条件を設定します(例:印加電圧や試験時間)。 - 試験の実施:
スタートボタンを押して試験を開始します。
試験中は、試験対象物や試験器に触れないように注意します。 - 結果の確認:
試験完了後、合否判定を確認します。
合格の場合、試験記録を保存します。不合格の場合、不良箇所を特定し対処方法を検討します。
3.3 試験終了後の手順
- 試験器を停止します。
- 接続したケーブルを取り外します。
- 使用した試験器や試験対象物が問題ないか確認します。
第4章:安全試験器を使う際の注意事項
4.1 基本的な安全ルール
- 試験中の高電圧注意:
試験中は絶対に試験対象物やケーブルに触れないでください。
高電圧による感電のリスクが大きいため、周囲にも注意喚起を行います。 - 正しい接続確認:
試験対象物への接続ミスは、試験器の破損や事故の原因になります。 - 設備点検を怠らない:
試験器の損傷や劣化がある場合は、使用を中止し、担当者に連絡します。
4.2 試験精度を向上させるコツ
- 定期校正を実施:
安全試験器は定期的に校正し、測定精度を保つ必要があります。 - 試験条件を最適化:
試験基準に基づいた電圧や抵抗値を正確に設定することが重要です。
まとめ
安全試験器は、電気製品の「安全性」を保証する上で欠かせない装置です。
製品の耐電圧、絶縁性能、接地性能、漏洩電流などを体系的に確認するための試験を実施できます。
正確な操作と安全管理を徹底することで、試験の信頼性と作業者の安全を確保しましょう。
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