試験で使用するケーブルと配線の話

電線の選び方と配線

装置を作成した際に試験を行いますが、正しいデータを取るために配線の選び方に注意が必要です。特に大容量(高電圧・大電流)の物や高速で電流を変化させる試験では、配線の仕方により故障や測定データに影響を及ぼす場合があります。今回はいくつかの例を紹介します。

大電流の応答を測定する場合

直流電子負荷など大電流を制御する製品を開発する際に、発振などの確認のために周波数応答やステップ応答で、立ち上がり速度を評価する場合があるかと思います。その際に、電源側の電圧が下がる現象が見られます。これは電線にあるインダクタンスの成分が影響し、電圧降下が発生するためです。低電流の場合、発生する電圧降下は小さいですが、大電流を扱う場合は無視ができない大きさになります。この電圧降下を抑えるには、なるべく電線のインダクタンス成分を小さくすることが効果的です。電線をツイストして距離を近く配線するようにします。また、リッツ線を使用した低インピーダンスケーブルを使用したりします。電流を供給する電源の出力端に大容量のコンデンサを入れることも効果があります。

大容量のスイッチング電源を試験する場合

装置にもよりますが大容量のスイッチング電源は仕組み上、コモンノイズが多く発生します。製品等では対策がなされますが、グランド線を低抵抗で接地しないと対策の効果が出ず試験装置にコモンノイズが入り故障したり、誤作動を起こしたりする可能性があります。
コモンノイズの多い製品には、取扱説明書や仕様にC種やD種といった接地の条件が記載されていますのでそちらに合わせて使用することが必要になります。また、他の装置に影響を及ぼさないように接地するグランド線は、別系統で分離させる場合もあります。

大容量や高電圧、高電流になると試験環境によって影響が大きくなります。試験条件の選定はとても大切になってきますので注意して行う必要があります。

執筆者:T.M