従来方式の電子負荷は、右図のように「最小動作電圧よりも低くなると電流が流れなくなる」という特性を持っていました。これは電子負荷内部の突入電流を防止する回路の動作によるもので、従来は避けられないものとされていました。この問題の対策として一般的に次のような2種類の方法があります。
A.ソフトスタート方式
電子負荷が駆動する電圧(=最小動作電圧)になるまで負荷電流を遅らせるものです。これにより見た目上の「電流不感帯」は無くなりますが、試験条件によって電流の遅れが供試電源によるものか電子負荷によるものか判断が困難になります。
電子負荷が駆動する電圧(=最小動作電圧)になるまで負荷電流を遅らせるものです。これにより見た目上の「電流不感帯」は無くなりますが、試験条件によって電流の遅れが供試電源によるものか電子負荷によるものか判断が困難になります。
B.バイアス電源方式
電子負荷内部の負荷回路と直列の直流電源(=バイアス電源)を内蔵し、電子負荷にかかる電圧が最小動作電圧より低くなっても内部の負荷回路にはバイアス電源電圧がかかるため常に最小動作電圧以上となります。この方式ではソフトスタート方式のような電流の遅れは発生しませんが、バイアス電源のノイズやリバース電流の発生が問題になる場合があります。
電子負荷内部の負荷回路と直列の直流電源(=バイアス電源)を内蔵し、電子負荷にかかる電圧が最小動作電圧より低くなっても内部の負荷回路にはバイアス電源電圧がかかるため常に最小動作電圧以上となります。この方式ではソフトスタート方式のような電流の遅れは発生しませんが、バイアス電源のノイズやリバース電流の発生が問題になる場合があります。
これに対してELxシリーズ電子負荷には一般的な最小動作電圧の概念が無く、右の波形のように真の抵抗負荷に近い電流波形となっています。このように、電圧の変化に対して直線的に電流も変化しますので、まさに理想的な抵抗と同等の特性(=定電圧動作テクノロジー(電子抵抗動作))と言うことが出来ますのでソフトスタート方式やバイアス電源方式のような問題が発生することはありません。
一方、ソフトスタート機能を持たない電子負荷では左図のような突入電流が流れるため、供試電源の過電流保護回路が働くなどの悪影響を及ぼすことがあります。ELxシリーズの電子負荷では電子抵抗動作によりこのような問題が発生することはなく、低電圧電源の起動特性も正しく評価することができます。また、左図のように太陽電池パネルや燃料電池のI-V特性においてもソフトスタート方式では正しい評価データを得られないことがありますが、定電圧動作テクノロジー(電子抵抗動作)ではそのようなことがありませんのでどうぞ安心してお使い下さい。