今回は直流と交流の違いについて、具体例をもとに解説させていただきます。

電気はその流れ方によって2種類に分類されており、それぞれ直流(DC: Direct Currentの略)及び交流(AC: Alternating Currentの略)と呼ばれています。英語の名称からもわかるように、直流はその流れる向きは直線的に変わらず1方向ですが、交流は流れる向きが交互に変わります。つまり、流れる方向が一定なのが直流、変化するのが交流ということになります。

たぶん直流で最も身近なものは乾電池、交流で最も身近なものはACコンセントであり、皆さんも普段から目にしたり使ったりしているでしょう。今回はこの乾電池とACコンセントを例として直流と交流の違いをご説明します。

直流の代表格「乾電池」

ご存じのように乾電池は小さいのでラジオなど様々な携帯用機器の電源として使われています。逆に考えると「携帯用機器は直流の乾電池で動作するように設計されている」と言うこともできます。

乾電池の概要

電気の形式直流
電圧1.5V(※)
特長小型、軽量で携帯機器の電源として適しています。

※9Vの製品もありますが、1.5Vの基本電池を内部で6個積み重ねて電圧を9Vとした「積層乾電池」と呼ばれるものです。

交流の代表格「ACコンセント」

ACコンセントはどこの家庭にもありますが、乾電池と違って「その中で電気を発生している訳ではない」ことは言うまでもありません。つまり電気を発生(発電)しているのは遠く離れた発電所であり、そこから各家庭まで送電し最終的にACコンセントに接続されているのです。

ACコンセントの概要

電気の形式交流
電圧100V(※)
特長各家庭に必ず有ります。
一般的に交流を蓄えることはできないため、蓄えるときはいったん直流に変換することが必要です。

※エアコンなど、200Vの場合もあります。また、海外では国によって電圧が異なります。

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電圧とは

水道の圧力を水圧というように電気の圧力は電圧と呼ばれます。乾電池(直流)とACコンセント(交流)の電圧をグラフで表すと、このようになります。

直流は一目瞭然、電圧は一定ですね。(ただし、乾電池は使えば使うほど電圧は徐々に低下します)

これに対して交流の電圧はプラス側とマイナス側を行ったり来たりしています。ACコンセントの電圧は100Vと言われていますが、100Vとはいったいどの部分を指しているのでしょうか。上のグラフに実際のACコンセントの電圧を記載すると、このようになります。

0Vからスタートしてプラス側のピーク(+141Vで折り返し、ふたたび0Vを通過してマイナス側のピーク(-141Vで折り返して0Vに戻る。この繰り返しがACコンセントで行われているのです。

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結論から言うと平均化した電圧が100Vになる訳ですが、単純に平均するとプラス側とマイナス側で相殺されて結果ゼロVになるため、二乗平均平方根という手法で平均化しており、その結果得られた電圧をRMS電圧もしくは実効値電圧と呼びます。(RMSはRoot Mean Square: 二乗平均平方根の意)

交流電圧のピーク電圧と実効値電圧の間には次のような関係があります。

ピーク電圧 = 実効値(RMS)電圧 × √2

従って、ACコンセントの100V(実効値)を√2倍するとピーク時の電圧が求められる訳ですから、(√2 = 1.4142として計算)

ACコンセントのピーク電圧 = 100V × 1.4142 = 141.42V

となりますので、さきほどのグラフと同じですね。

なお、ACコンセントの繰り返し周期(周波数)について日本では2種類存在しており、静岡県の富士川を境として東側が50Hz、西側が60Hzとなっています。 ※50Hz(ヘルツ)は1秒間に50回(60Hzは60回)繰り返す交流です。

最後に

直流と交流の違いについて、身近な直流の代表格「乾電池」と身近な交流の代表格「ACコンセント」を題材にご説明させていただきました。乾電池の直流は電圧が低いため感電する危険性はありませんが、同じ直流でも高電圧になると場合によっては同じ電圧の交流よりも危険な場合があります。交流の場合は電圧が高くても周期的に電圧が低くなりますが、直流は常に高い電圧を維持するからです。

直流と交流の特性を理解して直流関連製品や交流関連製品を正しく使いましょう。

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