【やさしい技術解説】スイッチング電源のノイズ測定は何故難しいのか? その1

スイッチング電源のノイズを測定するためには、いくつかの技術的な注意点を考慮しないと正確な測定は出来ません。これから複数回に渡りノイズ測定をより正確に行うために考慮すべき点についてご説明します。

スイッチング電源の内部回路では、大きい電力を持ったパルス波形が、トランジスタなどにより駆動されており、それが次の様な経路で外部にノイズとして発散されます。

① 直流出力端子 ② 交流(直流)入力端子 ③ 磁界 ④ 電界 ⑤ 電磁輻射

一般にスイッチング電源でのノイズ測定はこれらの経路のうち、直流出力端子より発散される成分をPeak to Peak値で測定する事を指します。ここではその測定について取り上げます。

以下は概略のスイッチング電源の構成です。

スイッチング電源の構成

この中でスイッチングが行われているのは、直流変換部で有り、通常100V~200Vの高電力パルス波が使用されています。実用のスイッチング電源ではこのノイズ源と出力の間に出力フィルターを挿入しノイズレベルを抑える様にしています。

出力端子に現れるノイズを測定するのですからオシロスコープやノイズメーターを出力端に接続すれば正確なノイズが測定出来そうな物ですが実際にはそう単純では有りません。例えば、ノイズは出力端のみならずFGなどの他の端子にも現れます。これは浮遊容量などの影響によりなんらかのインピーダンスを持ち、高周波領域ではノイズ電流流れる経路が発生する為です。

スイッチング電源のノイズ測定は意図しない箇所からの影響を無視する事は出来ません。測定のポイントはこの意図せざるノイズの影響を如何に抑えるか?と言う点に有ります。

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