【やさしい技術解説】電子負荷を使うときに気にしたいこと その3 – 配線はツイスト(撚る)する
お使いの電子負荷装置の端子と電源の間を結ぶ線はツイスト(撚る)して有りますか?おそらく多くの方がツイストして使用されているのではないかと思いますが、なぜツイストして使うと良いのかを理解した上でそれを実施している場合は案外少ないのではないかと思います。
2本の線をツイストして1つに束ねた線 – ツイストペア線には、ただの平行線(バラ線)と比較して
・ノイズに強い(ノイズを出さない、受けない)
・インダクタンスが小さくなる
と言う2つの利点があります。ここでは電子負荷を使う場合に重要な要素となるインダクタンスが小さくなる理由について見てみます。
ご存知の通り導体中を電流をが流れるとその進行方向に向かって右回りに磁界が発生します。これは右ねじの法則として知られているものですが、電子負荷装置と電源を繋ぐ線ではどの様な磁界が発生しているのでしょうか?
電流は行きと帰りの線で反対方向に向かって流れる事になりますので、磁界が線を中心として反対回りに発生する事になります。平行線の場合ある点を切り取って見れば、中心部では打ち消しあいますが全体としてはを2本の線を囲む様な磁界になります。
平行線全体としては電流の流れに沿って渦巻き状に連続的に発生する磁界が合成された結果、斜めに同じ向きに磁束が走る事になります。同じ方向に走る磁束は互いに加算されますので、結果的に平行線で発生する磁界は強められる事になります。
これに対してツイストペア線は一対のペアに着目すれば、これは平行線となんら変わりありませんので同じ状態になります。しかし隣接するペア同士を比べると、1本1本の磁界の方向が逆になりますので当然、合成磁界の向きも反対になります。つまり交互に逆向きに磁界が発生しますので、隣接するペア同士では互いに磁界が打ち消しあう事になります。
インダクタンスは誘導起電力の誘導係数ですが、誘導起電力は単位時間当たりの磁束の変化が大きいほど大きくなりますので磁束を強める方向に働く平行線より、弱めるツイストペア線の方がインダクタンスは低いと言う事になります。
過渡応答を測定する場合などはもちろん、少しでもインダクタンスを小さくした方が良い場合は必ず電子負荷と電源はツイストペア線で繋ぎましょう。