【やさしい技術解説】電子負荷を使うときに気にしたいこと その4 – 電子負荷装置も回路の一部

前回までのお話では電子負荷装置と電源との間の繋ぎにまつわるお話でしたが、全体としてみた場合には配線だけでなく、電子負荷装置自身の持つ特性にも注意を払わなければなりません。

下の図1は電子負荷装置に繋げた場合の負荷電流ループに寄生するインダクタンスを現した等価回路になります。V2が試験対象の電源、R4とL5は電源自身に含まれる抵抗とインダクタンスになります。L3とL4は電子負荷と電源の間を繋ぐ配線の持つインダクタンスであり、L1とL2が電子負荷装置自身のインダクタンスになります。

計測器や電子負荷装置を使って電源の評価や実験を行う時にはついつい、その計測器や電子負荷装置の存在を無視して(影響を与えないものとして)、その結果を評価しがちになりますが電子負荷装置を回路に加える以上その影響はは免れません。

例えば数mオームのインピーダンスが問題になる燃料電池のインピーダンスを測定しているつもりが実は電子負荷自身のインダクタンスが大きく、それを加えた回路として測ってしまい、何を測っているのか解らない様な結果になってしまうことも考えられます。

こういった用途には十分に内部インダクタンスの低い電子負荷装置を使用する必要があります。ただ電子負荷装置の内部インダクタンスを公表しているメーカーは多くありません。

ちなみに当社では電子負荷装置の内部インダクタンスを公表しています。下の一覧表を見ていただければ解るとおり、スルーレートの早い高速機で20nH~80nH、汎用機(ELA-305)でも250nHと非常に小さな値となっていますので回路全体に与える影響は非常に小さくなっています。

どの様な計測器や電子負荷装置を使っても、計測をすると言うことはその対象に対して何らかの干渉を加える事になります。電子負荷装置も含め計測器の選択には気をつけたいものです。

インダクタンス等価回路
図1

計測技術研究所の電子負荷装置の内部インダクタンス(Typ)

モデル最大電流スルーレート内部インダクタンス最大定格電圧最大定格電流最大定格電力
ELS-304200A/μs20nH30V120A300W
ELL-35550A/μs80nH135A350W
ELA-30520A/μs250nH120V60A300W

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