【やさしい技術解説】電子負荷の便利な使い方 その5 – 同期運転機能

前回御紹介した「ブースター機能」は複数台をまとめ、あたかも1台の電子負荷装置の様に扱える便利な機能でした。ただし

 ・全ての電子負荷装置が同じ負荷モードで有る必要がある
 ・各負荷毎の負荷設定値は全体の容量と、各電子負荷装置の容量の比で固定的に決まる

と言う制約もあります。全体をまとめて便利に使える代わりに個別に負荷を設定出来ないのが「ブースター機能」です。複数台の電子負荷装置を連係して動作させる場合には、この制約が問題となる様な場合も有ります。

多出力電源などの場合、個々の出力にタイミングを合わせた負荷変動を与えたいと言う場合が有ります。負荷の掛かるタイミングも含め、出来るだけ実動作に忠実な形で評価したい! こう言った場合などは「ブースター機能」では対応出来ません。

個々の出力毎に個別に負荷変動パターンを設定し、さらには負荷変動パターン間で同期が取れるようにしたいと言った場合、従来の電子負荷装置では外部制御機能を使用して同期した外部制御信号を個々に与える様な事でもしない限り実現出来ませんでした。

しかし当社の電子負荷装置にはこういった用途で使うと便利な「マルチチャンネル同期運転機能」があります。「マルチチャンネル同期運転機能」は「ブースター機能」と同様に専用ケーブルで同期運転させたい電子負荷同士を接続するだけで実現できます。

「マルチチャンネル同期運転機能」は「ブースター機能」とは異なり、各電子負荷の設定は通常の時と同様に完全に個別設定できます。同期するのは

 ・電子負荷装置のON/OFF
 ・負荷変動のタイミング

になります。個別に設定した電子負荷装置同士を同期運転モードにして接続し、マスター機の負荷をONにすると一斉に他の電子負荷装置もON状態になります。このときの個々の電子負荷装置間のタイミングのズレはマスター機から見て1μsec以内(Typ)と非常に高精度な同期運転が可能となっています。

先に紹介しました個々の電源の出力への負荷変動を与える事はもちろん、「ブースター機能」で発生する可能性のある設定確度の低下も、同期運転時にはタイミング以外は完全に個々の電子負荷が独立した動作をするため単体使用時の単純合計より悪くなる可能性は有りません。

また「マルチチャンネル同期運転機能」は耐圧の異なる電子負荷装置同士でも御利用になれます。評価対象の電源の出力に適した電子負荷装置を御利用頂けます。

「ブースター機能」と「マルチチャンネル同期運転機能」、当社の電子負荷装置はお使いになる用途に合わせ、2種類の電子負荷装置間連係機能を御利用になる事が出来ます。

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