【やさしい技術解説】交流電源装置を使うときに気にしたいことその2 – ピーク電流
使用する交流電源を選択する際、考慮しなければならない仕様は何でしょうか?
・最大電圧
・最大電流(実効値)
・最大電力
このあたりまでは多くの方が意識して仕様を気にされるのですが、以外と見落とし勝ちなのが最大ピーク電流です。定常電力からすれば明らかに定格内の容量のスイッチング電源を繋いだら、交流電源のアラームが発生うまく動作しなかった...この様な経験をされた方は居ないでしょうか?
スイッチング電源などは入力に大きなコンデンサを持っており、力率改善対策が施されていないと起動時に非常に大きなピーク電流=突入電流が流れます。非常に短い区間のみ大きな電流が流れる様な電流波形となりますので、実効値として見た場合に比べピークが非常に大きくなります。
瞬時であれば多くの交流電源は電流を完全には流す事が出来ないまでもリミットが掛かるだけで動作を継続しますが、有る程度の期間継続すると過電流による保護回路が働き出力を遮断してしまいます。
この様な事情があるため、実効値での最大電流だけ気にしていると先のように「足りているハズなのに動かない」と言うことが起こります。突入電流の様な過渡的な仕様は明記されていない場合も多いため余計に原因を解りにくくする要因ともなっています。
市販の大抵の交流電源では保護回路が働かない範囲のピーク電流を仕様で明記しています。直接「最大ピーク電流80A」などと規定している場合もあれば「実効値の3倍」と言うように相対的に規定している場合もあります。
例えば下の表は弊社の6700シリーズですが、赤枠の様にピーク電流を明記してあります。
似たようなスペックを持つ交流電源でもこのピーク電流に関しては大きく異なる場合があるため、しっかりと確認する必要があります。概ね実効値での最大電流の3倍~5倍と言ったところが主流の様です。