【やさしい技術解説】電子負荷と回生 – その4 回生負荷とリップル

前回までのお話は回生可能な電子負荷装置を設置し系統に連携させる場合の様々な事情についてでした。

系統の問題は理解するには苦労はしますが、結局何らかの法令やガイドラインを遵守すれば良いだけの話ですので回避可能なもの言えます。しかし回生可能な電子負荷装置に付きもののリップル(電流リップル)については、やりたいことが出来なくなる可能性がある問題であり、そういった意味では系統連携より深刻な場合があります。

電流リップルとはその名称の通り、負荷の電流に現れる脈動の事です。
例えば10Aの電流を定電流で負荷を引いた場合、回生可能な電子負荷装置では10Aちょうどの電流では無く、僅かな量ですが短い時間間隔で電流が波打って変化します。この様な周期的に脈打つ電流の事を電流リップルと呼びます。

回生可能な電子負荷装置はほぼ100%回生部にスイッチング方式を採用しています。スイッチング方式は電気エネルギーの変換効率が良く回生効率を良くするには良い方法なのですが、反面スイッチを入り切りして目標となる指定の電流に合わせる方式のため

  ・スイッチON   負荷電流が増加→目標を超える→スイッチをOFF
  ・スイッチOFF   負荷電流が減少→目標を下回る→スイッチをON

と言う様に常に、設定値を目標としてその境を行ったり来たりするため、電流が周期期的に変化してしまいます。この幅はスイッチングの周期を早めたりする事で小さくはできるのですがあまり早くするとスイッチング損失が大きくなり、回生効率が下がると言う面もあるためむやみに周期を上げる事はできません。

このため原理的にスイッチングによる電流の周期的変化=電流リップルを避けることは出来ません。
この電流リップルの大きさ(p-p)は回生可能な電子負荷装置にもよりますが数A程度になります。

この電流リップルが問題にならない様な用途であれば問題ないのですが、特に小電流やノイズが問題になるような用途では電流リップルが大きいと使えない場合も出てくるため、回生可能な電子負荷装置は主として大型の、大きな容量のものしかありませんでした。

この為多くの技術者にとり回生可能な電子負荷装置は特殊なものであり、身近な存在ではありませんでした。
しかしこれを打破し、電流リップルが無いか又は非常に小さく、しかも回生可能な電子負荷装置があればどうでしょうか?

これを使わない理由は無いかと思いますが如何思われますか?

次週は千葉の幕張メッセにてテクノフロンティア2009が開催されます。

弊社も出展しますがそこで、今までに述べた様な問題への回答となるハイブリッド型電子負荷装置を展示します。実は下の図の濃い青色の線は同一条件で電流を引いた場合のその製品の電流波形です。違いは一目瞭然ですね。

車もハイブリッド型で性能を落とさず低燃費を達成した様に、回生可能な電子負荷装置もハイブリッドで
性能を落とさず、エネルギーのリサイクルを可能にします。

ご期待ください。

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