リップルノイズ測定って、そもそもナニ?
リップルメータのリップル分離比について誰にでもわかりやすく解説
リップル測定とは?
JEITA(電子情報技術産業協会)により策定されたスイッチング電源試験項目の中のひとつであり、スイッチング電源の直流出力に現れるスイッチングリップルやスイッチングノイズなどの測定を総称して、リップル測定あるいはリップルノイズ測定と言います。
オシロスコープによる測定
言うまでもありませんがリップルノイズは、広く普及している汎用的な測定器「オシロスコープ」を使って測定することは可能ですが、いくつかの注意点があります。
オシロスコープによる測定例
メリット
・波形として表示されるので視覚的にわかりやすい
・複数の測定波形を重ねて比較できる
・部分的に拡大して波形観測することができる
デメリット
・操作が複雑で慣れない人にはわかりにくい
・測定結果の数値化は目視に頼る(数値化可能な項目もあるが、リップル電圧の数値化は不可)
・このため、試験の自動化には適さない。
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リップルメータによる測定
前述のオシロスコープでリップル電圧の数値化が難しく自動化には適さないということが、リップルメータ開発の背景としてありました。すなわち、スイッチング電源の検査項目で外せないリップル電圧の測定を短時間で数値化して良否判定したいというニーズです。
このようなニーズに応えて開発されたのがリップルメータという訳ですが、その開発は簡単ではありませんでした。何しろ測定対象が一般的な「信号」ではなく「雑音(リップルノイズ)」であり、しかもリップルとノイズが複雑に合成されているため単純ではありません。
一般的なオシロスコープで測定(数値化)できるのは上記波形のp-p電圧部分であり、スイッチングリップル電圧の数値化はできません。そこで当社では、リップル電圧を分離して測定する方法として「パルス幅デューティ比較方式」を開発しました。
パルス幅デューティ比較方式
リップルノイズ波形からスイッチング周期を自動検出し、この幅を100%としたときのリップル分離比をパーセントで指定します。例えばスイッチングノイズのパルス幅が3%だった場合、リップル分離比を3%に指定すると3%より細いパルス成分は除去され、スイッチングリップルだけを抽出して測定することができるという仕掛けです。
このように、リップル分離比を設定することによって、オシロスコープでは目視測定するしかなかったスイッチングリップル電圧を容易に数値化することができるようになりました。なお、リップル分離比は経験的に3%で目視測定結果と相関が取れることが多いようですが、新機種の検査など測定対象が変わるときはオシロスコープ測定結果との比較検証が必要です。
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