デシベルって、そもそもナニ? 

はじめに

 デシベル(dB)は、二つの量の比率を表すときに使われるもので、日常生活ではあまり使用することは無いかも知れませんが、様々なところで使われています。例えば、工事現場の騒音レベルは見かけた方も多いのではないでしょうか。また、交流電圧を表現するときもデシベルは使われており、dBVなどと表記されます。今回はこのデシベル(以下dBと表記)について、とりあげてみたいと思います。

最初にV(ボルト)とは

「V」は電圧の大きさを表すための単位ということはご存じと思います。通常、交流信号を「1V」と表記した場合、一般的には実効値電圧のことを指しますが、計測機器では用途に応じてどの部分の電圧かをわかりやすく表現するため、Vに続いて説明の文字を表記する場合があります。

+1V~-1Vの振幅の正弦波の場合、各電圧の表現は以下のようになります。

この図の交流信号の電圧を①~③の単位で表す場合以下のようになります。

① 実効値 : 0.7071Vrms

② 振幅値 : 2Vp-p

③ 最大値、波高値 : 1Vpeak

数値は違いますがこれら3つの表記は全て同じ交流信号の電圧を表していることになります。これを一般的な家庭用電源に当てはめて考えてみましょう。家庭用の電源は一般的に100V又はAC100Vとなっています。単位が「V」になっていますがこれは実効値の100Vrmsのことになります。これを上記式で変換すると、家庭用電源は次のようなの交流信号であるということが出来ます。

実効値 : 100Vrms

振幅値 : 282.842Vp-p

最大値、波高値 : 141.421Vpeak

このように「V」を使用し表記した場合、その数値は交流信号の「電圧の絶対値」を表していることになります。

デシベルとは

 一般的に数値の変化量が極端に大きいときにdBが使われます。例えば、ある数値が1から100万まで変化すると仮定してみましょう。言うまでもありませんが、数値の桁数は以下のように1桁から7桁までの幅で変化することになりますので表記や扱いが煩雑になりそうです。仮にこの数値をXとすると

X = 1, 10, 100, 1000, 10000, 100000, 1000000

 このようなときにdBが威力を発揮します。dBは最小値の1とXの比率の対数式で計算します。

dB = log(X / 1)×10 ※logは常用対数

 数学が苦手だった方もご安心ください。かく言う私も苦手でしたので。元の数値(X)とdBの関係を表にすると次のようになります。1から100万までの変化が0から60までの変化になりました。

元の数値(X)dB
10
1010
10020
100030
1000040
10000050
100000060

 このように、dBの方が見た目もシンプルで扱いやすそうですね。具体的にdBで表記することのメリットは見た目だけでなく、数値の扱いが楽になるということもあります。例えば、元々10だった数値を100倍したとすると、言うまでもありませんが 10 × 100 = 1000 となります。

 これが dBの場合は 10dB + 20dB = 30dB となり、掛け算ではなく足し算でいけるのです。今回の例では、10と100などシンプルな数値ですが、複雑な数値の場合足し算の方が楽に(場合によっては暗算で)計算できますね。

 オーディオアンプなどの電子回路では信号のレベルが10倍や100倍になることもありますので、dBが使われています。(電圧1Vを基準としたとき、dBVと表記することもあります)また、アンプとは逆に信号が減衰する回路(アッテネータなど)では次のように表記します。

元の数値(X)dB
10
0.1-10
0.01-20
0.001-30
0.0001-40
0.00001-50
0.000001-60

 見ておわかりのように、符号がマイナスになっているだけであとは同じです。つまり、0.01倍の回路の出力に0.001倍の回路を通すと、0.01×0.001=0.00001となりますが、dBでは-20dB + -30dB = -50dBとなり、やはり足し算で容易に算出することができます。 この他にも、1mWの電力を基準とした電力比dBmなども広く使われています。