フローティングって、そもそもナニ?
電気的なフローティングについて誰にでもわかりやすく解説
はじめに
英語でFloatingは、海面などに「浮いている」という意味ですが、今回のテーマは海面ではなく電気的なので、ちょっと、いや、だいぶ異なります。電気的に浮いているとは、どのような状態なのでしょうか。今回は、このフローティングについて取り上げてみたいと思います。
フローティングとは
結論から言うと電気的なフローティングは、「GND(グランド)から浮いている」ということを意味しています。つまり、UFOのように地面(グランド)から浮いている状態ですが、言うまでもなく電気的なフローティングが浮いているのは地面ではありません。電気的なGND(電子機器のケース、シャーシなど)から浮いているのであり、「浮いている」は、「電気的につながっていない。絶縁されている」という意味で使われます。
フローティングのメリット
フローティングのメリットを一言で言えば「接続するときに(それほど)注意しなくても良い」ということでしょうか。特に計測器の場合、接続対象は様々なものが想定されますので、接続対象によって注意することが増えると使いにくい計測器になってしまいます。
もしも、計測器の入力端子がGNDとつながっており、フローティングされていなかったらどうでしょうか。測定対象がGNDから浮いており、しかも何らかの電圧が出ていた場合、計測器を接続した瞬間にこの電圧をショートして最悪の場合、計測器もしくは測定対象が故障するかも知れませんのでフローティングされていた方がより安全という訳です。
一般的な計測器の入出力端子は、おおむね次のようになっていると思われます。
計測器 | 入出力 | フローティング | 備考 |
デジタルマルチメータ | 入力端子 | 〇 | |
オシロスコープ | 入力端子 | × | アイソレーションタイプの機種はフローティングされているものもあります |
交流電源 | トリガー出力 | 〇 | |
電子負荷 | 負荷入力 | 〇 | 低価格の機種ではフローティングされていないものもあります |
フローティングのメリットを考えると全ての計測器がフローティングされていそうなものですが、オシロスコープは例外のようですね。これには次のような理由があります。
コストの課題
フローティングを実現するためには、各チャンネル(2ch~4chなど)を全てGNDからアイソレーション(絶縁)することが必要となります。そのためにはチャンネル数分のアイソレーション回路が必要なりますので、そのままコストアップにつながります。
技術的な課題
オシロスコープの場合、1GHzなどの高い周波数帯域の機種もありますが、このような周波数帯域でアイソレーションするのは容易ではありません。このため、オシロスコープ本体はフローティングせず、外部にアイソレーションプローブを接続する方法もあります。
このように、測定器の中にはフローティングされていないものもありますので、うかつに接続すると故障の原因になるかも知れませんので、測定対象に接続するときはそのことを認識しておくことが必要です。
関連情報
交流電源製品情報 https://www.keisoku.co.jp/pw/product/power/ac/
直流電子負荷製品情報 https://www.keisoku.co.jp/pw/product/power/dc-load/
交流電子負荷製品情報 https://www.keisoku.co.jp/pw/product/power/ac-load/