直流電子負荷の選び方
直流電子負荷とは
直流電子負荷をひとことで言うと・・・
様々な直流電源の性能を試験するために色々な電流を流すことができる装置
様々な直流電源とは
スマホやノートPC用ACアダプタ、各種OA機器に内蔵されたスイッチング電源、各種バッテリー、太陽電池パネルなど、身の回りには多種多様な直流を発生する電源が存在します。
色々な電流とは・・・
少しずつ徐々に電流を増加させたり、ある一定の電流を継続して流したり、急激に電流を変化させたりと、電子負荷を使えば色々な電流を流して直流電源を試験することができます。
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試験対象物
直流電子負荷の試験対象物としては、主に次のようなものがあります。
試験対象物 | 例 | 主な特徴と試験内容 |
スイッチング電源(汎用) | ACアダプタ、PCやOA機器内蔵スイッチング電源など | 過電流・過電圧等の保護回路試験やリップルノイズ測定が必要 |
スイッチング電源(高速) | CPUボードなど高速動作するボードに実装されたDC/DCコンバータなど | 低電圧、高速応答の負荷変動試験が必要 |
バッテリー | リチウムイオンなど各種二次電池 | 放電試験 |
太陽電池 | 太陽電池パネル | MPPT(最大電力点追従)試験など |
燃料電池 | 燃料電池(スタック) | インピーダンス測定 |
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直流電子負荷の主な仕様
直流電子負荷は、何を試験するか?(=試験対象物)に合わせて最適なものを選ぶ必要があります。試験対象物に合わせた定格電圧、電流、電力などが重要な要素となります。
電子負荷の主な仕様(選択基準となるもの) | |
定格電圧 | 最大印加電圧で、これを超えるとアラームが発生し、最悪の場合電子負荷が故障することもあるので注意が必要 |
定格電流 | 定格電流100Aの電子負荷は無条件に100A流せる訳ではないので注意が必要。これは定格電力によるリミットが働くためであり、例えば100V-10A-100W定格の電子負荷の場合、10A流せるのは印加電圧10Vまで。これ以上流すと通常は過電力アラームが発生するので使用できない。 |
定格電力 | 上記のように、定格電圧×定格電流の値とは異なり、電力リミットという意味合いが強い。 |
最小動作電圧 | この電圧よりも低下すると電子負荷が動作せず電流が流れない。電子負荷外部にバイアス用の直流電源を直列接続し、見た目上最小動作電圧を0Vにする方法がある。 ※元々最小動作電圧の定義が無い電子負荷も存在する。 |
負荷モード | 電流の流し方であり、次のようなモードが存在する(電子負荷によって異なる) ・CC(定電流) CR(定抵抗) CV(定電圧) CP(定電力) ・ダイナミック変動 ・外部制御 ・自動切換え |
負荷応答速度 | 電流が立ち上がる時間(立下がる時間)を定義したもので、一般的に A/μsで定義されます。 |
最小動作電圧
一般的な電子負荷の最小動作電圧は1V前後であり、定格電圧が5V以上の試験で問題になることはあまりありませんが、定格電圧が低くなると最小動作電圧が問題になることがありますので注意が必要です。このような場合、最小動作電圧の無い電子負荷を使うと改善される場合があります。
最小動作電圧の無い電子負荷:Load Station シリーズ
負荷モード
現在販売されている電子負荷には数多くの負荷モードがあり、選択に迷うかも知れません。
負荷モード | 動作 | 備考 |
CC(定電流) | 印加電圧に関係なく電流を一定に保つ | |
CR(定抵抗) | 抵抗の特性を模擬 | 印加電圧に比例して電流も増加する |
CV(定電圧) | 印加電圧が設定値(電圧)になるまで電流を流す | 電流を増加することで試験対象物の電圧が低下することが前提 |
CP(定電力) | 印加電圧×電流値が設定値(電力)になるよう電流を制御する | |
ダイナミック変動 | 電流値を高速に変化させる | パルス負荷試験 |
外部制御 | 外部からFG(ファンクションジェネレータ)等の波形を入力し、その波形に比例した電流が流れる。 | 燃料電池のインピーダンス測定など |
自動切換え | CC→CVなど | 二次電池の放電試験など |
負荷応答速度
CPUなど高速に動作するデバイスは、それに流れる電流も高速に変化しています。従って、高速なデバイスに供給する電源は「高速な電流変化に耐えられるもの」である必要があります。逆に言えば、このような電源を試験するためには電流を高速に変化することができる電子負荷が必要になる訳です。
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