交流電源でできること・できないこと

はじめに

 交流電源(交流安定化電源)装置は、交流を電源として動作する機器の試験には欠かせない装置です。今回はこの交流電源について「できること」と「できないこと」を整理してみたいと思います。

できること(例)

単相交流の出力これは必須の機能であり、逆に言えば単相交流の出力が出来ないものは交流電源とは呼べないということになります。
電圧及び周波数の設定出力電圧を100Vにしたり、あるいは200Vにしたり、さらに出力周波数を50Hzや60Hzに設定する機能です。
三相交流の出力交流電源の機種によっては三相出力が可能です。また、単相交流電源であっても、3台を三相出力オプションで接続することにより三相出力できることもあります。
投入(遮断)位相の設定   スイッチング電源の突入電流測定をするときなどに投入位相角を規定している場合ああります。そのような場合、位相設定機能を持った交流電源を使って実現することができます。
出力電圧急変瞬断試験などを実施するとき、出力電圧急変機能を持った交流電源を使って実現することができます。
任意波形出力MIL規格試験の対応など、複雑な波形を出力する必要があるとき、任意波形出力機能を持った交流電源により対応できる場合があります。
容量(電流)拡張容量拡張に対応した機種では台数を増やすことにより拡張可能です。
逆潮流対応交流電源の機種によっては逆潮流(逆方向電流の吸い込み)に対応可能です
航空機設備の電源出力周波数400Hz(800Hz)対応機種は航空機設備の電源として使用できます。

できないこと(例)

直流出力(低電圧)直流出力可能な交流電源もありますが、一般的に高電圧での使用を想定しており、低電圧での使用は推奨されません。
単相交流電源×3台での三相出力単相交流電源を3台用意すれば、一見出来そうですが三相の各相は位相差が120度と規定されており、単に台数を増やしただけでは三相として使えません。
出力インピーダンス設定高調波測定などでインピーダンスを規定する必要があるとき、交流電源の出力端にリファレンスインピーダンスネットワークを挿入するのが一般的です。
直列運転複数の交流電源を直列接続して出力電圧を上げることはできません。

関連情報

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