交流電子負荷の活用(4) PCSの負荷試験

PCSとは

PCSは、太陽光パネルで作られた電気を家庭や商業施設で使える形に変換するための装置です。具体的に言うと、太陽光発電のシステムの中で非常に重要な役割を果たしています。(本稿では、太陽電池発電装置に組み込まれているPCSに限定しています)

直流→交流変換太陽光パネルで作られる電気は、直流(DC)という種類の電気です。しかし、私たちが普段使っている電気は交流(AC)です。そこでPCSが、直流電気を交流電気に変換してくれます。これによって、家電や電化製品が使えるようになるのです。
電圧や周波数の調整       太陽光パネルから出てくる電気の量は、天気や太陽の強さに応じて変動します。この変動をそのまま使うと、電気製品が壊れたり、不安定な電力供給になってしまいます。PCSはこの電圧や周波数を安定させて、一定の品質の電力を供給できるように調整する役割も持っています。
系統連系もし余った電気があれば、PCSを通じて電力会社の電力網(系統)に送り返すことができます。これを「系統連系」と言います。余った電気を売電することで、家庭や事業所での電気代を節約することができるのです。

このように、太陽電池発電装置用のPCSは、太陽光パネルで作られた電気を私たちが使いやすい形に変えて、安全に供給してくれる装置です。電気の変換や調整、売電、そして安全確保まで、さまざまな重要な役割を果たしているのです。

負荷装置とは

負荷装置をひとことで言うと「様々な電源の出力に接続し、負荷をとる(=電流を流す)装置」であり、電源の性能試験には欠かせない機器のひとつです。なお、負荷装置は大きく分けて3種類の方式があります。

 方式特徴
抵抗負荷抵抗器方式長所:比較的低価格 短所:設定速度が遅い(手作業)、自動化には向かない
電子負荷(1)ドロッパー(リニア)方式長所:設定速度が速い、自動化に最適 短所:電力の再利用はできない
電子負荷(2)スイッチング(回生)方式長所:回生動作により電力の再利用が可能 短所:比較的高価格

太陽電池発電装置用PCSの負荷試験

 エージング(連続負荷試験)をする場合は抵抗負荷装置や回生可能な負荷装置が適していますが、様々な負荷モードで試験を行うときはドロッパー(リニア)方式の電子負荷装置が適しています。

負荷モード電子負荷の動作
CC(定電流)設定された電流値を維持する
CR(定抵抗)設定された抵抗値になるような電流を流し、それを維持する
CV(定電圧)設定された電圧値になるような電流を流し、それを維持する
CP(定電力)設定された電力値になるような電流を流し、それを維持する
CF(波高率)電流波形の波高率を設定し、様々な負荷のシミュレーションを行う
PF(力率)電流波形の力率を設定し、様々な負荷のシミュレーションを行う

関連情報

交流電子負荷製品情報