初心者向けプログラミング講座 
第8回: 測定データの応用処理とレポート作成

講座の概要については以下からご覧ください。

目的

この回では、測定データのより高度な処理と、その結果をレポートとしてまとめる方法を学びます。具体的には、Pythonを活用して測定データの応用処理を行う方法(フィッティングや統計処理など)と、結果をCSVやPDF形式で出力するフローを習得します。これにより、他者にわかりやすく分析結果を報告できるスキルを身につけます。

学習内容

  • 高度なデータ処理(データフィッティング、統計処理)
  • 測定データの保存と書式設定(CSV形式の応用)
  • PDF形式のレポート作成
  • 実践プログラム例
  • 演習問題

1. 高度なデータ処理

測定データの応用処理として、代表的なタスクである「データフィッティング」と「統計処理」について学びます。

(1) データフィッティング

フィッティングとは、測定データに数式モデルを適合させ、その背後にある関係性を明らかにする手法です。Pythonのライブラリscipyを使うと、非線形モデルのフィッティングも簡単に行えます。

例:サイン波へのフィッティング

以下では、測定データをサイン波モデルでフィッティングする例を示します。

実行結果

 (2) 統計処理

測定データセットの要約情報を求めるために、統計量(平均、標準偏差など)を利用します。Pythonのライブラリnumpyやscipy.statsを使うと簡単に実装可能です。

例:統計量の計算

実行結果

2. 測定データの保存と書式設定

レポートを作成する際、測定データをCSV形式で保存し、それに追加情報(統計量や注釈など)を付加する場合があります。

(1) CSVへの保存(統計量を含む)

以下に、測定データとその統計量を保存する例を示します。

3. PDF形式のレポート作成

Pythonのfpdfライブラリを使えば、測定データや統計情報をPDF形式のレポートとして保存することができます。

(1) ライブラリのインストール

fpdfライブラリをインストールします。

 (2) PDFレポートの生成

以下に、測定結果と統計量をPDFレポートにまとめるサンプルコードを示します。

4. 実践プログラム例

以下のプログラムでは、ダミーデータの取得、フィッティング、CSV保存、PDFレポート作成までの一連の処理を統合しています。

統合プログラム例

5. 演習問題

演習問題 1: データのフィッティングと統計量保存

ダミーデータを生成し、2次関数でフィッティングしてください。
フィッティング結果から得られるRMS(平均二乗誤差)を計算し、CSVファイルに保存してください。

解答例を表示

実行結果

演習問題 2: PDFレポートにコメントを追加

測定データとフィッティング結果を含むグラフをPDFレポートに追加してください。
レポート内に「考察」や「注釈」をコメントとして挿入してください。

解答例を表示

作成されたPDFファイルの内容

次回予告

次回(第9回)は、「計測器の自動化システム構築」を学びます。一連の測定、データ処理、レポート作成を自動化するシステムを構築し、効率的な運用方法を習得します!