基礎講座「スイッチング電源とリップルノイズについて」

はじめに
新入社員の皆さん、入社おめでとうございます!今回はスイッチング電源のリップルノイズについて初心者向けの基礎講座です。身の回りのほとんどの電子機器に組み込まれていると言っても過言ではない「スイッチング電源」に関するものですので、ぜひ参考にしてください。
第1章:スイッチング電源とは?
1.1 スイッチング電源とは
スイッチング電源は、電気を変換して製品に使える状態にする「電源」の一種であり、家庭のコンセントから来る電気(交流電力)を、スマホやPCなどで使える電気(直流電力)に変換します。
特徴:
- 小さくて軽い!
- 電気を効率よく使える!
※ スマホの充電器なんかが、その一例です
1.2 スイッチング電源の仕組み(ざっくり)
電気を「オン」と「オフ」に高速で切り替えることで作られています。これが「スイッチング」という部分。高速で切り替えるため、機械の中で電圧や電流が少し揺らぎやすく、これが後で出てくる「リップルノイズ」に関係します。
合わせて読みたい
第2章:リップルノイズとは
2.1 リップルとノイズ
リップル | 電源の出力に出てくる「小さな波みたいな揺れ」のことです。スイッチング電源内部のスイッチング動作が原因で発生します。 例えるなら… 机にコップを置いたとき、コップの中の水が細かく振動する感じ。 |
ノイズ | リップル以外に出てくる「不規則なチリチリ音みたいな信号」。外部の電子機器やスイッチングの過程で発生します。 |
2.2 リップルノイズを見ると何がわかる?
スイッチング電源を使うとき、リップルノイズが多いと、製品が誤動作したり場合によっては故障することがあります。このため、リップルノイズが一定以下になるように設計しないといけないのです。
「どれくらいのリップルノイズが出ているか」を知ることが、測定の目的です!
第3章:リップルノイズの測り方
リップルノイズの測り方にはオシロスコープとリップルノイズメータの2種類の方法があります。それぞれ簡単に説明します。
3.1 オシロスコープを使った方法
3.1.1 オシロスコープって?
波の形を見るための測定器です。
- 画面に「波形」がリアルタイムで表示され、リップルやノイズが視覚的に確認できます。
- 電子機器の開発や修理では、よく使われる測定器。
3.1.2 測るときの手順(簡単に)
準備するもの | スイッチング電源とオシロスコープ 測定用のプローブ(オシロスコープにつなぐ部品) |
接続 | プローブでスイッチング電源の「出力端子」に接続します ケーブルは短めにすると、ノイズの影響が減ります |
測定 | オシロスコープ画面に出力波形を表示 波形の揺れ方(リップル部分)を見ます |
3.1.3 メリットと注意
メリット:波形全体を細かく観察できる!
注意:測定プローブなどによって、測定結果が変わることがあります。
合わせて読みたい
3.2 リップルノイズメータを使った方法
3.2.1 リップルノイズメータって?
- リップルノイズ測定専用の機器です(例:RM-104)。
- オシロスコープより簡単に、高精度で測定できます。
3.2.2 測るときの手順(簡単に)
準備するもの | スイッチング電源とリップルノイズメータ 専用のケーブル(ノイズを除けるためのシールドケーブル) |
接続 | スイッチング電源の出力に、測定用のケーブルをつなぎます |
測定 | リップルノイズメータのスイッチを入れるだけで、ノイズの大きさが数字で表示されます |
3.2.3 メリット
めちゃくちゃ簡単!正確! 初心者におすすめの方法です。波形を詳しく見なくても、リップルノイズの大きさだけを簡単に確認できます。
合わせて読みたい
まとめ
スイッチング電源は、小型で効率の良い電源ですが、原理的にリップルノイズの発生は避けられません。リップルノイズは、電源の波形の揺らぎやノイズ成分のことで、機器の誤動作やトラブルにつながるため、きちんと測定・評価することが基本です。
リップルノイズの測定には、以下の方法があります:
- オシロスコープ:波形を直接観察!
- リップルノイズメータ:リップル値を簡単に測定。自動化に最適!