基礎講座「自動検査システムについて」

はじめに

新入社員の皆さん、ようこそ!今回は、様々な電気製品の工場などで必ずと言って良いほど設置されている「自動検査システム」についてスイッチング電源自動検査システムを例としてわかりやすくお話しします。一見難しそうに感じるかもしれませんが、基本的な考え方を理解すれば、それほど難しくないんですよ!

1.自動検査とは?

自動検査とは、製品の品質や基準を効率的に確認するために、検査工程を自動化する仕組みです。自動化する前の人間による手作業検査では、以下のような課題がありました。

  • 精密な測定が困難
  • 検査に時間がかかる
  • ヒューマンエラーのリスクがある

これらを解決するため、自動検査システムでは機械や専用ソフトウェアを用いて高精度かつ効率的な検査を実現します。

2.自動検査の目的

自動検査を導入する目的には以下のようなものがあります。

品質の向上製品の不具合を高精度で検出し、不良品の流出を防止。
効率化人間が手作業で行う検査に比べ短時間で大量の検査が可能に。
コスト削減人件費を削減し、長期的な運用コストを低減。
トレーサビリティ確立検査データを自動記録・管理し、後から追跡できる。

3.システムとは

ここで言う「システム」とは、自動検査を効率的に行うために、複数の機器や機能を統合した一連の仕組みを指します。一般的な自動検査システムの構成要素は以下の通りです: 

被検査物検査される対象物(製品、デバイスなど) 一般的にD.U.T. (Device Under Test)とも呼ばれます。
設定機器入力電圧や出力電流など、様々な条件を設定するための機器
測定機器電圧、電流、電力、リップルノイズなどを測定するための機器
データ管理機能測定結果を記録・保存・共有するための機能

4.スイッチング電源自動検査システムPW-800の例

4.1 「PW-800」とは

「PW-800」は、スイッチング電源の検査工程を自動化するために設計された自動検査システムです。40年以上蓄積されたノウハウが詰まったオールインワン型の製品で、主に製造ラインにおける品質確認や最終検査で利用されます。

4.2 「PW-800」の特徴

以下が「PW-800」の主な特徴です。

  • オールインワン設計
    必要なハードウェア(負荷設定・測定、リップル測定など)を一体化。交流電源などを追加するだけなので省スペース。
  • 拡張性と柔軟性
    最大20チャンネルの負荷増設が可能。
    様々なスイッチング電源の試験に対応可能。
  • 高精度かつ高速な検査性能
    複数チャンネルの負荷測定を同時に行うことで測定時間を短縮。
    高性能なリップルノイズ測定機能搭載。
  • 効率的なデータ管理
    検査結果をデータベース(Microsoft Access形式)で保存し、Excel形式に簡単に転送可能。
  • プログラミング不要の簡単操作
    直感的な専用ソフトウェア「PowerTestSite」で操作可能。短時間のトレーニングで現場導入可。

4.3 「PW-800」の具体的な検査内容

以下は「PW-800」で行える主な試験内容の例です

入力特性試験入力電流や電圧、電力などの測定。
負荷変動試験出力負荷(電流)を変動させた際の電圧安定性を検査。
リップルノイズ試験出力に現れるスイッチングリップルやノイズを測定。
保護機能試験過電流保護(OCP)、過電圧保護(OVP)などの機能が正常に動作するか確認。
効果的なデータ管理バーコードによる自動的なデータ管理や検査成績書作成をサポート。

4.4 「PW-800」の導入効果

「PW-800」の導入によるメリット: 

  • 検査時間の短縮:手作業検査と比較して大幅な時間削減。
  • 品質の向上:不良品の流出を防ぎ、製品信頼性が向上。
  • コスト削減:人件費削減と工期短縮によるコスト効率改善。

5.まとめ

自動検査システムは、製造業の効率化や品質向上にとって不可欠な存在です。スイッチング電源自動検査システム「PW-800」は、以下の理由で優れた選択肢となります。

  • 高度なオールインワン設計と柔軟な拡張性。
  • 短時間で高精度な検査が可能。
  • データ管理や成績書作成の効率化を実現。

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電源自動検査システム