電子負荷のSWEEPモードって、そもそもナニ?
電子負荷にはCC(定電流)やCR(定抵抗)など様々な動作モードがありますが、今回はその中であまり知られていない特殊な動作モードSWEEP モードについてご紹介します。
※SWEEP モードの名称はメーカや機種によって異なる場合があります。
電子負荷とは
スマホやPC のAC アダプタをはじめとして、私たちの身の回りには「スイッチング電源」があふれています。このようなスイッチング電源は、例えばスマホ用AC アダプタでは出力定格電圧5V、定格電流2A などとなっており、これを試験するためには5V で2A 以上流せる負荷が必要になります。(実際は保護回路を試験するために定格を超える電流を流すこともあります)
最も基本的な負荷は「抵抗負荷」ですが、抵抗負荷の場合テスト条件に従って電流値を繰り返し何回も変更するのは容易ではありません。これに対して電子負荷では負荷用半導体に流れる電流値をデジタル制御できるため、電流値の設定変更が抵抗負荷と比較して格段に容易になっています。
電子負荷によるスイッチング電源の試験
抵抗負荷と比較すると電子負荷は電流設定が容易にできますので、試験には適していますがスイッチング電源のOCP(過電流保護機能)試験を実施する場合、電流設定を小刻みに上昇することが必要であり、手作業では時間がかかるため現実的ではありません。このような場合、PC を使ってOCP 機能試験用プログラムを走らせるのが一般的ですが、電子負荷とUSB などのインターフェースを介してコントロールするプログラミングは簡単ではありません。
PC でのプログラミングが面倒な場合はSWEEP モードが内蔵された電子負荷を使えば電子負荷単体でOCP 機能試験をすることができます。つまり、OCP 機能試験プログラムに相当するものが電子負荷に組み込まれているもので、開始電流値や終了電流値などの必要なパラメータを設定して負荷ONするだけでOCP 機能試験を実施します。また、機種によってはOCP カーブのグラフ化に対応しているものもあります。
おわりに
近年のプログラミング技術のめざましい発達に伴い、多種多様なアプリケーションがPC 上で稼働しています。今回ご紹介したSWEEP モードは時代の流れに逆行するかも知れませんが、PCを使わなくてもできることは、あえてPC 無しとすることも選択肢のひとつではないでしょうか。
電子負荷Load Station シリーズ
計測技術研究所 パワエレ事業部HP
https://www.keisoku.co.jp/pw/product/power/dc-load/load_station-2-2/
電子負荷 3300F シリーズ
https://www.keisoku.co.jp/pw/product/power/dc-load/3300f_series/