インバータって、そもそもナニ?
身近なところにあるインバータは?
どこの家庭にも必ずあるエアコンですが、現在ではほとんどのエアコンが「インバータエアコン」になっているようです。では、エアコンの中のインバータはどのような仕事をしているのでしょうか? 結論から言えば
「モータ(コンプレッサ)を回転させる仕事をしている」
ということになります。
コンプレッサ(圧縮機)によってどのように部屋の空気を冷やすのかというエアコンのしくみは本題から外れるので省略しますが、モータを回すだけならインバータは必要ないのでは?と思われるかも知れませんね。次の図は大幅に省略したイメージですが、インバータのところがブラックボックスになっています。
インバータの入力に交流を入れると出力にも交流が出てくる。と言うとインバータは何もしてないように見えますが、実はそうではありません。インバータの中身をご説明する前にインバータと非常に関係の深い「コンバータ」について若干触れておきます。 皆さんが普段使っているスマホの充電器(ACアダプタ)は、厳密に言えばAC/DCコンバータ(交流→直流変換器)もしくはスイッチング電源と呼ばれています。コンバータはこの他にもDC/DCコンバータ(直流→直流変換器)や、DC/ACコンバータ(直流→交流変換器)があるのですが、DC/ACコンバータはスイッチング電源の逆方向という意味合いから「インバータ」と呼ばれることが多いようです。
ここでブラックボックスの方に戻ってみましょう。交流から交流に変換ということは、AC/ACコンバータ(AC→AC変換器)ということになりますが、交流から直接交流に変換する訳ではなく実際はこのようになっています。
この図のように商用電源の交流(周波数は50Hzまたは60Hz固定)からAC/DCコンバータにより直流に変換し、その直流をもとにDC/ACコンバータ(インバータ)により周波数可変の交流に変換します。交流モータの回転数は、その交流の周波数によって決まるため固定の周波数では回転数も固定になりますが、周波数可変インバータで制御することでモータの回転数を細かく制御することが可能となり、エアコンの細かな温度設定も可能になると言うわけです。 ここで素朴な疑問が生まれるかも知れません。インバータエアコンにはAC/DCコンバータも組み込まれているのに何故「インバータエアコン」と呼ばれるのかという疑問です。この疑問に対しては「インバータ回路が組み込まれたエアコン」または、「インバータ方式のエアコン」と考えて頂ければと思います。
インバータの用途
インバータは次のような機器に組み込まれています。
家電製品 | インバータエアコン、洗濯機、冷蔵庫など |
産業機器 | ポンプ、エレベータ(電圧・周波数可変インバータ)など |
自動車関係 | EV(電気自動車)、HEV(ハイブリッド車) バッテリーの直流をインバータにより交流に変換しモータを制御 |
鉄道関係 | 鉄道車両、電気機関車 |
電源装置関係 | 無停電電源(UPS)、太陽光発電のパワーコンディショナ(PCS)、双方向電源 |
照明関係 | インバータ蛍光灯(最近ではLED照明に置き換わっている) |
その他 | 電磁調理器、電子レンジなど |
※電圧・周波数可変インバータはVVVFインバータと呼ばれます。(VVVFはVariable Voltage Variable Frequencyの略)
インバータと双方向電源
消費電力のピークカットやピークシフト等に活用されている双方向電源にもインバータ技術が応用されています。例えば双方向電源を使って系統の電力(交流)を直流に変換してバッテリーに充電(蓄電)しておき、必要なときにバッテリーの直流をインバータにより交流に変換して回生電力を再利用するというものです。
このような双方向電源を使うことによって、様々なケースで発生した回生電力を直流に変換してバッテリーに蓄電することができますので、回生電力の再利用をより効率的に行うことが可能となります。