直流安定化電源って、そもそもナニ? 「基本的な使い方」

安定化電源とは?

安定化電源を大別すると直流安定化電源と交流安定化電源がありますが、今回はより身近な直流安定化電源を対象とさせていただきます。

名称別名概要
直流安定化電源直流電源、AC/DCコンバータなどコンセントなどの交流を様々な電圧の直流に変換するもの
交流安定化電源交流電源、AVRなどコンセントなどの交流を様々な電圧・周波数の交流に変換するもの

安定化電源の基本的な使い方

直流安定化電源(以下安定化電源)は、その名の通り安定した電圧の直流を出力するもので、必要とする電圧に設定するためのつまみが付いているのが一般的です。これを回して必要な電圧に合わせて使うわけです。

下つまみを回すと出力される電圧を調整することができます。それではここで負荷の接続を外したらどうなるでしょうか?

安定化電源1

言うまでもありませんが、負荷に流れる電流を遮断するわけですから電流値はゼロAになります。このとき電流が流れなくても図のように電圧は出力されていますので電圧設定つまみを回して出力電圧を調整することができます。では電流の設定はどのように行うのでしょうか?電流の設定は電圧のそれとはちょっと異なります。一般的に安定化電源の電流設定は、最大値(リミット値)を設定するようになっています。電流設定モードにして(その方法は機種によって異なります)電流設定つまみにより最大電流を設定します。

この機能は試作品の動作確認をするときなどに役に立ちます。つまり、まだちゃんと動くかどうかわからない試作品(最悪の場合、電源ONすると異常発熱して燃えるかも知れないもの)に流す電流を制限して試作品が壊れないように保護することができる訳です。

リモートセンス機能

直流電源の出力と負荷を接続するケーブル(電線)はわずかながら電気抵抗を持っています。仮にこれが0.01Ωだとすると流れる電流に比例した「電圧降下」が発生します。つまり、直流電源の出力を10.0Vに設定しても電圧降下によって設定した電圧よりも低い電圧が負荷にかかるということになります。この降下電圧はオームの法則で簡単に求められます。

降下電圧 = 抵抗値 × 電流値

仮に流す電流が 20Aの場合、降下電圧 = 0.01Ω × 20A = 0.2V となりますが、ケーブルのプラス側とマイナス側で同じように降下しますので、実際にはこうなります。

設定電圧10.0V – 降下電圧0.2V × 2 = 9.6V

10Vに設定したはずなのに負荷には9.6Vしか印加されていないことになります。これでは無視できませんね。このようなとき、設定電圧を意図的に10.4Vに持ち上げれば電圧降下してちょうど10.0Vになりますが、降下電圧は流れる電流によって変わりますので、そのたびに電圧を変更するのは面倒です。これを自動的に行ってくれるのがリモートセンス機能という訳です。

安定化電源の回路方式

安定化電源を大別するとドロッパー方式とスイッチング方式にわけることができます。それぞれ長所と短所を持っているので安定化電源を選択するときの「めやす」として覚えておいて損はありません。

ドロッパー方式

長所:ノイズが少ない
短所:大きくて重い
備考:オーディオ製品などに適している

スイッチング方式

長所:小さくて軽い
短所:スイッチングノイズが発生する
備考:現在のACアダプタの大半はスイッチング方式

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