自動評価って、そもそもナニ? 「温度ドリフト測定の自動化」

温度計

温度ドリフトとは

JEITA(電子情報技術産業協会)のスイッチング電源試験規格RC-9131Dでは、「7.10 周囲温度変動」として次のように定義されています。

  1. 供試スイッチング電源を恒温槽内に設置し、基準動作状態で30分以上放置した後に出力電圧E0を測定する。
  2. 恒温槽内の温度を徐々に下げ、規定範囲の下限に達した後にその温度で1時間以上放置し、出力電圧E1を測定する。
  3. 恒温槽内の温度を徐々に上げ、規定範囲の下限に達した後にその温度で1時間以上放置し、出力電圧E2を測定する。

これを数式で表すと次のようになります。

周囲温度変動(低温側)= (E1 – E0) / E0 × 100 (%)
周囲温度変動(高温側)= (E2 – E0) / E0 × 100 (%)

規格なので漏れの無いように難しく書いていますが、端的に言えば「周囲温度による影響の度合い」ということになります。

温度ドリフトの測定

一般的に必要な機材は次のようなものでしょうか。

  • 恒温槽
  • 変動を記録するための測定器(デジタルマルチメータなど)

これらの機器を使って比較的容易に測定することはできますが、測定するため何時間も機器の前にいるのは効率的ではありません。そこで今回は自動評価ソフトウェアによる温度ドリフト測定の自動化についてご紹介させていただきます。

自動評価ソフトウェアとは

自動評価ソフトウエアは、スイッチング電源の様々な測定項目を自動化するために開発されたもので、特別なプログラミングの知識が無くても自動化のプログラムを組むことができるものです。例えば以下のような機器構成で温度ドリフトの測定自動化を考えてみましょう。

温度ドリフトの測定自動化

自動化するということは各機器をPCからリモートコントロールすることが必要になります。図のように交流電源と電子負荷をGP-IBなどのインターフェースで接続し、リモート制御するわけです。このようなインターフェースを経由して機器と通信するプログラミングは簡単ではありません。プログラミングの知識だけでなく、各機器のコントロール仕様、さらにインターフェースの通信に関する仕様を熟知していることが必要になるからです。

自動評価ソフトウェアでは、このような「本来の測定業務とは関係のないプログラミング知識」は特に必要なく自動化ができるように考慮されています。下図のように測定・評価の手順を全て日本語で組めるようになっており、特別なプログラミングの知識は必要ありません。

温度ドリフト測定プログラム例
温度ドリフト測定プログラム例

まとめ

測定を自動化する方法としては、この他にもMicrosoft社のExcel VBAなど様々な方法がありますが、プログラミングが本職でない方には敷居が高いものと思われます。自動化せずに全て手作業で測定するのも選択肢のひとつかも知れませんが、自動化することによって空いた時間を設計などのクリエイティブな業務に使うことも検討してみてはいかがでしょうか。

関連ページ

自動計測ガイド https://www.keisoku.co.jp/pw/u-po/autotest_01/
電源自動評価ソフトウェア https://www.keisoku.co.jp/pw/product/system/eval/tp/