クレストファクタって、そもそもナニ?
交流電圧波形の基本
最初に交流電圧波形の基本をおさらいしておきましょう。例えば一般家庭で身近なACコンセントの電圧波形は次のようになっています。
名称 | 電圧 |
ピーク値 | 141V |
実効値 | 100V |
ピーク値は見たまま「山の頂上までの電圧」なのでわかりやすいですね。それでは実効値はどうでしょう?結論から言うと「平均化した電圧が実効値」になるのですが、そのまま平均するとプラス側とマイナス側があるので単純に平均したら結果はゼロになりますね。このため、二乗平均平方根という手法で平均化しており、その結果得られた電圧を実効値電圧もしくはRMS電圧と呼びます。(RMSはRoot Mean Square:二乗平均平方根の意)
交流電圧の実効値電圧とピーク電圧は、次のような関係があります。
実効値電圧 = ピーク電圧 ÷ √2
一般的にACコンセントの電圧は「実効値」で表しますので100Vは実効値電圧であり、ピーク電圧はその√2倍になりますので、100×√2 ≒ 100×1.41 = 141V となる訳です。
クレストファクタとは
クレストファクターは波高率とも呼ばれ、文字通り「波の高さ」を表すもので実効値に対する比率となっており、次のような計算式で求められます。
クレストファクタ(波高率)= ピーク電圧(絶対値)÷ 実効値
この計算式をさきほどのACコンセントの交流電圧にあてはめると、次のようになります。
クレストファクタ(波高率) = 141V ÷ 100V = 1.41
ふだんの生活でクレストファクタを意識することはほとんどありませんが、交流電源の世界では重要なファクターとなっています。クレストファクタが1.41に近ければ問題になることはほとんどありませんが、これが2.0や3.0を超えると次のような問題を引き起こす可能性があります。
- 皮相電力の増加により電力損失が増加する
- 必要な機器の容量を大きくしなければならずコスト増加になる。
- 高調波成分の増加によるノイズ発生で機器が誤動作することがある。
- 最悪の場合、リアクトルなどが焼損することがある。
クレストファクタの大きな電流波形(例)
関連ページ
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