THD(全高調波歪み率)とは?
THDとは
THDはTotal Harmonic Distortion を略したもので日本語では全高調波歪率となりますが、いずれにしても難しい名称ですね。身近なものでは各家庭に必ずあるACコンセントには50Hz(または60Hz)の交流が出力されていますが、この50Hz(または60Hz)を基本波と言います。もし仮にACコンセントの交流が理想的なサイン波だとしたら基本波成分のみなのですが、実際は波形のひずみにより様々な周波数成分(高調波)が含まれています。この高調波が含まれる比率をTHDと呼びます。
以下の波形は理想的なサイン波形のように見えますが、実はこの波形には高調波が含まれています。
この波形を高調波解析(FFT解析とも言います)にかけると以下のようになります。横軸は周波数になっており、50Hzの部分(基本波)以外に150Hz付近(3次高調波)、250Hz付近(5次高調波)にレベルが大きくなっているのがわかります。このように、元の波形ではわかりにくい高調波のレベルを高調波解析によって視覚的に見ることができます。
THDの算出
THDは一般的に以下の式により算出されます。
信号に含まれる全高調波成分実効値の合計 ÷ 基本波実効値 × 100 [%]
このように、基本波に対する全高調波の実効値の比率ということになります。また、現在では様々な測定器がTHDの測定に対応していますが、当然ながらその測定器が本来測定可能な周波数帯域の上限によってTHDの測定結果は異なります。
THDの仕様記載例
当社交流電源のカタログ仕様では以下のようにTHDを記載しています。
シリーズ | 条件(※) | THD | 備考 |
6900S | 50 / 60Hz | 0.3%以下 | |
40 – 100Hz | 0.5%以下 | ||
101 – 450Hz | 1%以下 | ||
EAL | 50 / 60Hz | 0.3%以下 | |
6700 | 標準仕様(45 – 500Hz) | 0.5%以下 | |
OP仕様(45 – 1000Hz) | 45 – 500Hz : 0.5%以下 501 – 1000Hz : 1%以下 | ||
EAB | 40 – 70Hz | 0.5%以下 | |
70 – 500Hz | 1%以下 | ||
501 – 1000Hz | 1%以下 | ||
EAC | 40 – 70Hz | 0.5%以下 | |
70.1 – 1000Hz | 1%以下 | ||
6500 6300P 6300A 6300 | 110 / 220V 50 / 60Hz | 1%未満 | 350Vオプション追加時も同じ |
220 / 440V 50 / 60Hz | 1.2%未満 | 600V出力オプション追加時も同じ |
※負荷条件は抵抗負荷(全シリーズ共通)となっています。
関連ページ
交流電源 https://www.keisoku.co.jp/pw/product/power/ac/
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