Bluetoothって、そもそもナニ?
はじめに
Bluetoothが無線通信の規格を表しているということはご存じの方も多いと思います。身近なものでは最近流行りのワイヤレスヘッドホンがBluetooth規格になっていますね。今回はこのBluetoothについて詳しく掘り下げてみたいと思います。
名前の由来
Bluetoothを直訳すると「青い歯」になりますが、これでは意味不明ですね。元々はスウェーデンのエリクソン社の技術者が命名したそうで、ノルウェーとデンマークを無血統合したデンマーク国王が「青歯王」と呼ばれていたことに由来しているようです。Bluetoothの規格策定当時、様々な無線規格が乱立していたため「これを何とか統合したい」という願いが込められているそうです。いずれにしても日本人にはよくわかりませんね。
Bluetoothの用途
主に次のような用途で使われているものと思われます。
主な製品 | 用途 | 備考 |
スマホ、ノートPC | 標準インターフェース | マウス、ヘッドホン等の接続 |
マウス、キーボード等 | PC周辺機器 | |
ヘッドセットなど | ハンズフリー通話 | |
ワイヤレスヘッドホン、スピーカなど | 音楽鑑賞 | |
スマートウォッチ | 時計 |
ペアリングとは
Bluetoothデバイスを使い始めるときに避けて通れないのが「ペアリング」です。例えばBluetoothヘッドホンとスマホをペアリングすることによって、ちょうどケーブルで接続したように1対1に関連付けられるため次回以降ペアリング作業は不要で、すぐに音楽などを聴くことができます。
ヘッドホンについてあれこれ
最もBluetoothが普及していると思われるワイヤレスヘッドホンですが、使用環境によっては非常に使いにくい(あるいは使えない)ものになってしまう危険があります。Bluetoothは周波数2.4GHzを使用しており、周囲に同じ周波数帯の機器が存在すると干渉や障害を引き起こす可能性がありますが、ふだんの使用でこれを実感するのは満員電車の中ではないでしょうか。
TWS (True Wireless Stereo) と呼ばれる左右独立型のヘッドホンが爆発的に普及し、電車の中には2.4GHz帯の電波が入り乱れているのではと思われます。Bluetoothは周波数ホッピングと言う技術により電波干渉が起きないように周波数を高速に切り替えているのですが、それでも対応できないときに「音切れ」等が発生する可能性があります。スマホとヘッドホンの距離が離れていたり、スマホをバッグの中に入れていると周囲からの干渉を受ける可能性が高くなります。
このような電波干渉を回避するためにはBluetooth最新規格のヘッドホンを使用し、スマホ本体も新しいものを使用した方が良いとされていますが、それでも100%ではありません。スマホをヘッドホンの近く(胸ポケットなど)に置くのが効果的かも知れませんが、それではワイヤレスの意味があまり無くなりますね。
Bluetoothの到達距離
一般的な認識としてBluetoothは近距離用とされていますが、電波の強度によってClass1からClass3に分類されており、以下のように到達距離も異なります。
クラス | 最大出力 | 到達距離 |
Class1 | 100mW | 約100m(最大400m以上) |
Class2 | 2.5mW | 約10m |
Class3 | 1mW | 約1m |
言うまでもなく到達距離については周囲の条件によって影響を受けます。また、周囲に多数のBluetooth機器や混信を与える機器(Wi-Fiや電子レンジなど)が存在する場合、接続そのものが途切れる可能性もありますので注意が必要です。
主な規格バージョン
Bluetoothの主なハードウエアバージョンは以下のようになっています。
公開年 | バージョン | 概要 |
1994年 | エリクソン社の社内プロジェクトとして開発開始 | |
1998年5月 | Bluetooth SIG設立(エリクソン、インテル、IBM、ノキア、東芝) | |
1999年7月 | 1.0 | |
2004年11月 | 2.0 | EDR (Enhanced Data Rate) 追加 |
2009年4月 | 3.0 | HS (High Speed) 追加 |
2009年12月 | 4.0 | LE (Bluetooth Low Energy) 追加。通信速度1Mbps |
2016年12月 | 5.0 | LEの通信速度が最大2Mbpsになる |
プロファイルについて
Bluetoothは様々な種類のデバイスと通信するため、通信対象機器の種類ごとに異なるプロトコルを持っており、その使用方法をプロファイルとして標準化しています。逆に言えば、ある機器がどのようなことに使えるかどうかは、その機器の対応プロファイルを見ればわかるということになります。主なプロファイルは以下の通りです。
プロファイル | 概要 |
A2DP | Advanced Audio Distribution Profile – ワイヤレスヘッドホンやスピーカ用(ステレオ高音質) |
AVRCP | Audio/Video Remote Control Profile – AV機器のリモコン用 |
HFP | Hands-Free Profile – HSPに発着信機能を追加 |
HID | Human Interface Device – ワイヤレスマウスやキーボード用 |
HSP | Headset Profile – ヘッドセット用(モノラル音声での双方向通信) |
SPP | Serial Port Profile – 仮想シリアルポート用 |
関連ページ(Bluetooth搭載製品)
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