PID制御って、そもそもナニ? 

たまに聞くPID制御について誰にでもわかりやすく解説

PID制御

はじめに「制御」とは

 日常会話ではほとんど使われることはありませんが、制御って何でしょうか?英語ではコントロール “Control” と訳され、リモートコントロールは「リモコン」と省略されて一般的に使われています。日常的にテレビやエアコンのリモコンは頻繁に使っているのではないでしょうか。

 このように、制御(コントロール)という言葉は「何かの動きを操る」ときに使われており、離れた場所から操るときはリモートコントロールと呼ばれます。

最も単純な制御はON/OFF

 トイレの照明などはON/OFFのみの制御で十分ですが、暖房や冷房の場合はON/OFFのみだと問題があります。寒くなったら(冷房の場合、暑くなったら)スイッチをONし、温まったら(冷房の場合、冷えたら)スイッチをOFFするという制御になりますが、細かな制御ができないので暑くなり過ぎたり寒くなり過ぎたり安定しないことになります。また、そもそも人間がスイッチをON・OFFするのはいかにも面倒です。このような問題はPID制御にすることにより解決することができます。

PIDとは

PIDは制御に関する以下の3種類の方式の頭文字を取ったものです。

Proportional control比例制御
Integral control積分制御
Derivative control微分制御

 さきほどの冷暖房の例で、部屋が冷えている状態(温度10℃)から暖房のスイッチを入れ、設定温度を25℃にしたと想定してみます。

10℃から25℃になるまで、この温度差(15℃)に比例した強さで暖房機を運転します。比例制御(P)
部屋の温度を設定温度一定に保つため、設定温度との差が少なくなるように暖房の強さを調整します。比例制御で生じた温度差を累積(積分)し、その量に応じた暖房機の操作を行って温度設定誤差を補正します。積分制御(I)
ドアや窓の開け閉めなどで部屋の温度が急激に変化したとき、急激な変化量(微分)に応じた暖房機の操作を行います。微分制御(D)

 このように、PID制御はその理論がシンプルで扱いやすいことから、産業機器など数多くの分野で採用されています。

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