スイッチング電源の負荷過渡応答って、そもそもナニ?
負荷過渡応答(ダイナミック負荷応答)はスイッチング電源に限ったことではありませんが、今回はスイッチング電源(AC/DCコンバータまたはDC/DCコンバータ)を例としてご説明させていただきます。
負荷過渡応答とは?
皆さんがふだん使っているPCではCPUをはじめとしてHDDやDVDドライブなど様々なデバイスが高速に動作しています。これらのデバイスが動作するための電源を供給しているのがPCに内蔵されたスイッチング電源というわけです。ちょうど電力会社が各家庭に電力を供給しているようにスイッチング電源からCPUやHDDなどに電力を供給している訳ですが、スイッチング電源から見るとCPUやHDDは「負荷」と言うことになります。
これらの負荷は我々ユーザの操作に従って、ある意味「好き勝手」に動作しているわけで、規則性は全くありません。ということは、スイッチング電源から見ると様々な負荷に流れる電流も「不規則」ということになりますね。従って、あるときは急激に電流が増加したり、またあるときは急激に電流が減少するなんてことが頻繁に発生することになります。
皆様の家庭で掃除機や電子レンジなど消費電力の大きな電気製品を使ったときにブレーカが落ちたことはありませんか?また、最近ではあまり無いかも知れませんが掃除機などで急激に電流が増えたときに部屋の照明が一瞬暗くなることもあります。これは、急激に電流が増加したことによってコンセントの電圧が(一瞬)低下したために起こる現象です。 同様の現象がスイッチング電源と負荷の間でも同じように発生します。例えば負荷に流れる電流がスイッチング電源の定格電流を大幅に超えると過電流保護回路が動作して、ちょうどブレーカのようにスイッチング電源の出力が落ちますし、急激に負荷電流が増加すると増加した瞬間に出力電圧が低下します。このように負荷電流が急激に(過渡的に)変化したとき、スイッチング電源がどのように応答するかという指標を「負荷過渡応答(性能)」と呼びます。
負荷過渡応答試験の必要性
もし仮に我々の使っているPCに内蔵されているスイッチング電源が「負荷過渡応答性能の悪いもの」だったとしたらどうでしょうか?静かに使っているときは何事もなく動作していたのに、様々なデバイスを使い始めた(電流が急激に変化した)とたんにPCが誤動作したり、最悪の場合スイッチング電源の出力電圧変化によりPCが故障する可能性もあります。
このため、スイッチング電源の負荷過渡応答試験が必要になる訳ですが、負荷過渡応答性能は、スイッチング電源の出力に定格電流を流しただけでは試験することはできません。言うまでもなく「急激に変化する電流を流す」ことが必要になります。このような場合、一般的に高速スルーレートの電子負荷装置が使われています。
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