Begin/End/Transitionでの動作の違い


SYC(同期制御素子)の設定でBaseType(同期基準タイプ)をBegin(又はEnd)にした場合には1スイッチング周期の開始点(又は終了点)が同期基準点となります。
同期基準点がBaseの場合にはスイッチング周期が同期制御の基準タイミングとなりますので、スイッチ素子の固定デッドタイム設定を設定する場合に使用されます。

周期の最初に固定デッドタイムを設定

たとえば、Onディレイが300ナノ秒のスイッチ素子をQ1として使用する場合には次のように記載します。

Base Type :[ Begin ]
Mode :[ Time ]
Transition Base :灰色となり設定は不要
Synchronized :Q1:T0:300n

周期の終わりに固定デッドタイムを設定

同様に、スイッチング周期の最後で動作中のスイッチQ2オフタイミングにも500ナノ秒の固定デッドタイムを設定したい場合には、新たなSYC(同期制御素子)を追加します。

Base Type : [ End ]
Mode : [ Time ]
Transition Base : 灰色となり設定は不要
Synchronized : Q2:T1:-500n......スイッチQ2はすでにON状態と仮定

オフセット値にはマイナスの値も設定できますので、スイッチQ2はスイッチング周期の最後から500ns手前で動作することになります。

他のスイッチの動作終了後に固定デッドタイムを設定

PWM制御されているスイッチQ1のOFFタイミング(Q1:T0と仮定)から300nsの固定デッドタイム後にスイッチQ2をON(スイッチQ2はInitial Mode:OFFと仮定)させたい場合には、次のように記載します。

Base Type : Transition
Mode : [ Time ]
Transition Base : Q1:T0
Synchronized : Q2:T0:300n......スイッチQ22はInitial Mode:OFFと仮定

この設定により、PWM制御により刻々と変化するスイッチQ1のOFFタイミングから300nsの固定デッドタイムを保持しながらスイッチQ2がONすることになります。

固定発振だけだったらBaseTypeにBegin/Endを指定しても役に立たない!とお考えの方に!!

SCATにはPWM変調の他にSFM(周波数変調器)とDPM(素子パラメータ変調器)があります。このうちでSFM変調を回路に加えればスイッチング周波数を変調できる訳ですから、このBaseTypeのBegin/End指定による同期制御も十分に役立つ訳です。
従って、PWM制御により変調制御がかかるスイッチとSFM制御により変調がかかるスイッチ等が混在した形でシミュレーションが可能となります。